認知症情動療法 ®とは?

私たちの脳には、大きく分けて「認知機能(IQ:intelligence quotient )」と「情動機能(EQ:emotional quotient )」があります。それらは密接に影響しあって機能していますが、脳の別の部位にあります。IQが低下しているからといって、EQも低下しているとは限らないのです。仙台富沢病院の佐々木英忠先生と藤井昌彦先生の研究で、EQ機能の状態により、認知症の方の症状に違いがみられることがわかってきました。また、EQ(情動機能)によい刺激を与えると、認知症特有のBPSDなどの問題行動が減り、認知機能にもよい影響が及ぶことも論文発表されました。
これらをもとに明るく尊厳のある生活を送っていただくことを目的に生まれた療法です。

▼認知機能と情動機能

知能は認知機能(IQ)と情動機能(EQ)に分けられます。認知機能(IQ)は仕事を円滑に進めるための知識であり生活の道具です。それに対し、情動機能(EQ)は人の痛みがわかる思いやりや、人間性など社会生活を円滑に進めるための知能なのです。認知症では認知機能が低下していますが、怒り、泣く、喜ぶなどの情動機能は比較的保たれています。認知症患者さんにとっては、認知機能より情動機能が保たれていることが社会生活を円滑に進めるために大切だと考えられます。認知症情動療法は保たれている情動機能に良い刺激を繰り返すことにより、情動機能の低下を予防し社会生活をできるだけ長く明るく豊かに送っていただくようにする方法です。大脳辺縁系ー情動機能(EQ)に良い刺激(感動)を加えることで認知症の問題行動を軽減させ豊かな気持ちで生活を送ることが可能なのです。

iq_eq

IQ:認知機能⇒ 仕事を円滑に進めるための知識
EQ:情動機能⇒ 人の痛みがわかるなど社会生活を円滑に進めるための知能

▼認知症診断の現状

現在これらの機能のうちIQ(記憶力、計算力、言語力など)を測る検査MMSE
(Mini-Mental State Examination)が実施され認知症診断の指針となっています。しかし、近年、認知機能が低い患者であっても情動機能が高ければ、支障なく家庭生活を送ることができることがわかってきました。また、情動機能を刺激すると、認知症に伴う精神行動異常(BPSD)を抑制することもできるのです。

▼情動機能検査の確立
このたび数値で判定できる認知症情動検査(R)(MESE:Mini-Emotional StateExamination)が佐々木・藤井両医師らによって開発されました。
検査結果から情動機能をどのくらい維持しているかを判定し、従来の長谷川式やMMSEと合わせて総合的に認知症の診断を行うことが可能になりました。

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